「バサラ」の説明

伐折羅大将像(新薬師寺)

伐折羅大将

新薬師寺 奈良時代

Stucco, 166.1cm

ばさら

婆沙羅、婆裟羅、婆佐羅などとも表記する。

南北朝内乱期にみられる顕著な風潮で、華美な服装で飾りたてた伊達な風体や、はでで勝手気ままな遠慮のない、常識はずれのふるまい、またはそのようすを表す。また珍奇な品物なども意味する。

サンスクリット語のvajiraバジラ(金剛・伐折羅)から転訛したことばといわれる。

「建武式目」のなかでは「近日婆佐羅と号して、専ら過差を好み、綾羅錦繍・精好銀剣・風流服飾、目を驚かさざるなし、頗る物狂と謂ふべきか」といわれ、過差=奢侈が、「物狂」といわれるほど異常な形で現れることを「婆佐羅」と表現している。

また「太平記」では「佐々木佐渡判官入道導(道)誉ガ一族若党供、例ノバサラニ風流ヲ尽シテ」などとあり、伝統的価値観を食い破って現れてくる社会の風潮が語られている。

なお、二条河原落書にみえる「ハサラ扇ノ五骨」とは、骨数の少ない扇面に粗放、はでな風流絵を施したものをいう。ばさらの風体や行動をもって名をとどろかせた佐々木導誉・土岐頼遠は、南北朝期の時代精神を体現したものとして「ばさら大名」とよばれる。

「日本大百科全書」(小学館)より

伐折羅大将

薬師如来を守護する十二神将のひとり。

新薬師寺(奈良)の薬師如来座像を取り囲む十二神将は、天平塑像の代表作であり、怒髪をさかだて、瞳をらんらんと輝かせ激しく怒号している伐折羅大将像はもっともよく知られている。

薬師如来

東方浄瑠璃世界の救主。十二の大願を発して、衆生の病苦などの苦患を救い、身体的欠陥を除き、さとりに至らせようと誓った仏。

古来医薬の仏として尊信される。その像は,左手に薬壷または宝珠を持ち、右手に施無畏(せむい)の印を結ぶのを通例とする。

日光・月光の二菩薩を脇士とし、十二神将を護法神とする。